クラリーノのランドセル

ランドセルの素材選びにおいて、クラリーノを中心とする人工皮革が注目を集めています。クラリーノは、株式会社クラレが開発した世界初の人工皮革で、不織布とポリウレタンを主な素材として用いており、機能や構造、風合いを天然皮革に似せて作られています。

人工皮革は、本革に比べて軽量であり、工場での大量生産により品質が安定しているのが特徴です。また、豊富なカラーバリエーションが用意され、摩擦に強く、水や汚れにくいという優れた性能を備えています。さらに、価格も本革と比較して安価であるため、コストパフォーマンスに優れています。

近年では、メーカーの努力により、人工皮革の耐久性も向上し、10年以上の使用に耐えられるようになりました。小学校の6年間では十分な耐久性を有しているといえるでしょう。

こうした人工皮革の優れた特性から、現在ではランドセルの80％前後が人工皮革で作られていると言われています。中でもクラリーノは、人工皮革のランドセルのうち70%程度を占めており、ランドセル素材の定番となっています。

本革のような風合いと軽量性を兼ね備えた「クラリーノエフシリーズ」

クラリーノは、ランドセル製造に広く使用される人工皮革の一種です。

牛革に近い風合いや美しいシワを再現しつつ、本革よりも軽量であるため、体の小さなお子さんにも適しています。現在、クラリーノエフシリーズがクラリーノランドセルの主流となっており、その中でも様々なバリエーションがあります。例えば、光沢を抑えてシワをなくした「クラリーノエフ2」や、撥水性が高く高級感のある繊細な表目仕上げが特徴の「クラリーノエフ レインガードfa」などがあります。

耐久性と美しさを兼ね備えた「クラリーノレミニカ・タフロック」

クラリーノレミニカは、傷に強く光沢のある素材で、特に女の子のランドセルによく使われています。一方、クラリーノタフロックは、ハードな傷に非常に強く、クラリーノの中で最も丈夫なタイプです。活発なお子さんにおすすめですが、強度が高いため他の種類より重さがあります。

①：お子様が背負いやすい「軽さ」

クラリーノランドセルの魅力は、その軽量性にあります。小さなお子様でも無理なく背負えるランドセルを選びたいという親御さんの願いを叶えてくれる素材なのです。クラリーノランドセルの平均重量は1キロから1.2キロ程度で、中には1キロを切る超軽量モデルもあります。天然皮革のランドセルと比べると、クラリーノは明らかに軽量であり、お子様の体への負担を軽減してくれます。

②：カラーバリエーションが豊富

クラリーノランドセルのもう一つの魅力は、豊富なカラーバリエーションです。クラリーノは染色性に優れた素材なので、ピンク一つをとっても、ベビーピンク、ビビッドピンク、ローズピンク、ピーチピンクなど、様々な色合いのランドセルが揃っています。また、パールやメタリックなど、光沢感のある素材も選べるのがクラリーノならではの特徴です。お子様が「可愛い」「カッコいい」と思えるランドセルが、きっと見つかるはずです。

③：価格が安い

クラリーノランドセルは、天然皮革のランドセルと比べて価格が手頃なのも大きな魅力です。一般的なクラリーノランドセルの価格帯は4万円台から6万円台が中心ですが、牛革は6万円台から8万円台、コードバンにいたっては8万円台から10万円以上が相場です。ただし、人気ブランドやデザイン性の高いクラリーノランドセルの中には、天然皮革と同等の価格帯のものもあるので注意が必要です。

④：他の革製品よりも「耐水性」が高い

クラリーノランドセルは、耐水性に優れているのも特徴の一つです。クラリーノの表面はウレタン樹脂でコーティングされているため、雨に濡れても型崩れの心配がありません。万が一濡れてしまっても、乾いた布で拭き取るだけでお手入れが完了します。突然の雨でランドセルが濡れてしまっても、慌てる必要はないのです。

⑤：「型崩れ」の心配も少ない

クラリーノランドセルは、天然皮革ほどの強度はありませんが、型崩れしにくいのも大きな特徴です。重い教科書を詰め込んでも、ランドセルの形が崩れる心配はほとんどありません。6年間の使用に耐えうる十分な強度を備えているので、安心して長くお使いいただけます。クラリーノは、軽量でありながら、必要十分な強度を兼ね備えた素材なのです。

本革のような「深み・味わい」は少ない

クラリーノは、牛革の風合いを再現するために開発された人工皮革ですが、天然素材特有の深みや味わいには及びません。高級ブランドが使用する上質な本革と比べると、クラリーノの質感は確かに劣ると言えるでしょう。しかし、これは大人の視点から見た評価であり、子どもの目には、ツルツルとした手触りのクラリーノの方が魅力的に映ることもあります。質感の優劣は個人の好みによって異なるため、一概にクラリーノが劣っているとは言い切れないのです。

本革と比較して強度が劣る（6年間の使用なら問題なし）

クラリーノは、かつては耐久性に課題がありましたが、技術の進歩により強度が向上し、現在では多くの国産ランドセルに採用されています。ただし、本革、特に牛革の2～3倍の強度を誇るコードバンと比較すると、クラリーノの耐久性は劣ります。とはいえ、国産のクラリーノランドセルであれば、ほとんどの場合、6年間の使用に耐えうる品質が確保されています。ただし、超軽量タイプのランドセルは、芯材が薄く、傷つきやすい素材が使用されている可能性があるため、購入前に強度をよく確認することが重要です。

経年変化を楽しめない

本革製品の魅力の一つは、使い込むほどに風合いが増し、味わい深い表情を楽しめることです。特に、コードバンは使用とともに美しい光沢が生まれ、手触りも滑らかになります。一方、クラリーノは人工皮革であるため、使用を重ねるごとに風合いが増していくことはありません。経年変化によって生まれる独特の風合いを楽しみたい人にとって、クラリーノは物足りなさを感じる素材かもしれません。ただし、この点はランドセルを選ぶ上での重要な判断基準とは言えないでしょう。